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初任給。それは一生に一度のモノ。2度貰いたくはないですけど。今現在三度貰うような状況になってますけど。やっぱ基本的には一生に一度ですから、最初は使い道を考えるってもんです。

俺の使い道? 『里見の謎』の新品。もちろん、おすすめシール付)を買おうかな俺はもちろんまみりんにプレゼントを購入しようと脅され思いました。当時は東京で研修中のため遠距離恋愛だったので、俺のセンスで物を贈って失敗するのも嫌だったし質問してみました。

「えっとね、わたし、早起きしたいんだけど」

はあ。目覚まし時計が欲しいのですか。

「テレビで見たんだけど、パッパラパッパーの時計が大人気なんだって!」

はあ。それはパラッパラッパーの事ですか。

「わたしも博多で探してみたんだけど、どっこにもおいてないの。東京には売ってるんじゃない?」

はあ。売ってたらいいねぇ。

当時、片道二時間以上の新人研修。夕方5時半に終えて急いで帰っても8時過ぎ、といった通勤状況。知ってます? 時計屋さんって8時には閉まってしまうんですよ?

仕方が無いのでギリギリ閉店間際に秋葉原によって、限られた時間で色々なお店を見てまわりましたとも。何件も、何件も。

そしてようやく発見。ゴールデンウィークには博多に行く予定でしたが、一足先にパラッパ時計を送りました。めでたし、めでたし。

博多で休日を謳歌する二人は街に出てのんびりとデパートなんぞを見歩いていました。すると突然まみりんが……

「あ、何、あれ?! ほら!!」

そちらを見やると展示品のダブルベッドが。なんの変哲も無いベッドです。……だから?と思って何となく反対側を見ようとすると、首根っこを掴まれてしまいました。

「何でもないの!」

いや、俺、まだ何も言ってませんが。当然怪しむ俺。当然反対側を見ようとする俺。

「愛してるんなら見ちゃ駄目!!」

自分の揺るぎ無い愛を確信している俺は、迷わずにそちらを見ました。すると……
今はなき某サイトの隅から隅まで見ていて、「まついもとき」という名前に気付きました。こ、これは……

俺がこの人のこの名前を知ってるというのに驚く人も居るかも知れません。しかし、間接的に「まついもとき」氏、いや「瀬口たかひろ」氏の事は存じていました。奇妙な縁で……

俺の姉は真面目です。弟がかなりアレなのに、真面目で良く出来た姉だと思います。そんな姉は大分大学の漫画研究会でかなりアレな漫画を描いていて俺を非常に驚かせてくれましたが、もっと俺を、いや俺の後輩達を驚かせてくれました。

俺も鹿児島大学で漫画同好会に所属してて、他校との交流の為にと頼まれて姉の母校の研究会の冊子を持ってきました。すると寄稿イラストの所に掲載されていたのです、まつい氏のイラストが。俺が気付かなくても後輩が気付いて熱っぽく俺に聞いてきます。どういうことなのか姉に電話してみました。

「瀬口君のこと? けっこう苦労してるみたいねぇ。なんか雑誌に掲載の筈だったのに、直前で御茶漬け海苔って恐怖漫画家に差し替えられちゃったりしたのよねぇ〜。なかなかメジャーデビューは厳しいわねぇ〜」

つーと、後輩殿は、今はメジャーではないという事でありますか、姉上。

「う〜ん、知ってる人は知ってるらしいわよ」

知らない人は知らない、と言う事ですか、姉上。

「はっきり言うと、いやらしい漫画書いてるの、今は。18禁ってヤツ」

……ヤツラが知っている理由が良く分かりました、姉上。

注:2002年現在、瀬口たかひろ先生は『オヤマ!菊之助』などを少年週刊誌に連載されてます。

てな事をサークルの後輩に伝えると「サイン本、貰ってきて下さい! イラストは**ちゃんで!」と、嫌な方向にマニアックな注文をオーダーしやがります。姉も瀬口氏も人が良いのか、ちゃんと二冊も「後輩さんへ」ってサイン付きで送ってくれました。本当にありがとうございました。しかしその直後、後輩どもは東京方面に連絡先も告げずにトンズラ。

そして俺の家には2冊のエロマンガが。   

一冊はその次の年に入学してきた後輩が無闇に欲しがったのであげました。確かに俺の姉の弟の後輩ですし。でもまだ一冊残ってます。そうこうしているうちに就職で鹿児島を離れなければいけなくなりましたが、実家に送るわけにも行かず、仕方なく俺が所持したまま博多に赴任してきて今日に至ります。

そんな時に例のサイトを見たわけです。欲しがりそうだからあげちゃおうか?とか思いましたが、また変な事になったらアレですし、いきなりメールで「サイン本あげます」って言っても、あちらさんにとってもかなりアレです。そんな訳でその件はほっておきました。

すると何故かそのサイトの管理人の鳴浄さんとコンタクトを取る日が来て、瀬口氏の本の事を提案してみると、こんな御返事が来ました。

で、例のサイン本の事なんですけど(笑)、無茶苦茶欲しいっス! 毒文章でサインの事アレコレ言ってますが、欲しい物は、欲しい!! ってなワケなのでよろしかったら是非ともお譲り下さい。

毒文章? とか思って彼のページを良く見てみるとありました。以下、抜粋。

サインです。なんでこんな事書こうと思ったか思い出せないですけどサインについて書きます。今回言う「サイン」は、俗に言う色紙とかに書くあのサインです。雑誌とかでたまにプレゼントする奴。

よく、その「雑誌でのプレゼント」等で入手したサインを自慢する方がいますが、彼等は一体何を自慢したいのでしょうか? もの凄い確率から当りを引き当てた自分の運の強さですか?高い金払って手に入れたとしたなら、それに金を払える自分の裕福さにですか?俺にはその自慢の理由が理解できません。したくもありません。

所詮、どんなに自慢した所で凄いのはその物体であって、自慢する人間が凄いワケじゃないんですから。そんな、自分本来のスペックとは関係無い所で手に入れた物体を自慢していて、アナタ自身は空しくならないんですか?

いや、別に俺は「サインなんていらない」なんて言ってるワケじゃないんですよ。どちらかと言えばそういうの大好きな方だし。それじゃあ何が嫌なのかと言えば、もう、相手の特定されていない、所詮誰の所に置かれても構わない、ただの物体としての「サイン」が嫌なんです。それは「サイン」とは言わないんじゃないですか?

俺、昔は遊びに来た人間に記念として絵を描かせたり、今もHPで「ゲストブック」といった形のサイン(この場合はちょっと違うかも)帳を作ったりしています。それらは他の誰でもない、鳴海、ようするに俺の為だけに書いて貰った代物です。

そう、他の誰でもない俺の為に、俺の為だけに書かれたサイン。それが俺の好きなサインなんです。

極論としては、「鳴海さんへ」って書いてもらえばサイン本体はどうでも良い位にこちらの方が重要だと思うんですけど、みなさんはそこらへんどう考えてますか?

自分のあこがれの人がただ「描いただけ」の「絵」としてのサインか、あこがれの人が「自分の為に」書いてくれたサインか。あなたならどちらが欲しいですか?俺?聞くまでも無いでしょ。

昔、知り合いが「同級生」のサイン入りポスターを自慢してきた際には、「ゴメン、俺、マジでどんな態度取りゃいいかわかんねぇや。何の感想も沸かねぇ」なんて暴言を吐いた物ですが、それが「知り合いの為に」描かれた物だった事を思い出すと、その点だけに関しては羨ましく思ったりしてみるのでした。

いやね、でもね。瀬口たかひろ先生のまついもとき名義のサインはマジ欲しいです。あかりとマルチのイラスト付きで。もちろん「鳴海さんへ」って書いて貰うの。


一通り読んでみて、おや?と思った俺は、サインを今一度見てみました。宛名の所も見てみました。でも……

鳴海さんへ?

どこにも「鳴海さんへ」って書いてないにゃあ?

ここでこれを読んでいるあなた方へ、俺から問いかけます。 

自分のあこがれの人がただ「描いただけ」の「絵」としてのサインか、あこがれの人が「自分の為に」書いてくれたサインか。あなたならどちらが欲しいですか? 俺? 聞くまでも無いでしょ?

その後、サイン本は彼に譲渡されました。彼は俺の後輩になったということでいいですか。
俺がピカピカの一年生(大学)だった頃、と言えばストリートファイター2がゲーセンに登場した時期であります。つまりバリバリのザンギエフだった時期であり、対戦というものが分かりはじめてきた時期であり、未だ見ぬつわものを求めてゲーセンをさすらう日々でありました。

そんなある日、東京からサークルのOBが来られるとのこと。何でも、俺が対戦相手を日々求めているというのを聞き及んで、ぜひとも戦ってみたい、とのこと。「誰にも負けたことがない」「ザンギエフ? はっきり言って負ける気がしない」「無敵のブランカ使い」とか自称している、とのこと。

こんな自信たっぷりの台詞を聞いて、俺も期待満々です。弱い相手との対戦には飽きていたし、強い相手に思い切り負けてしまいたい、それくらいの相手に会いたい、と切望していた時期でしたから。

そのOBの方が到着するや否や、早速ゲーセンへ速攻。サークルの人間もこれは見物だと何もこちらが言わずともついてきます。取り敢えず千円札を全て50円玉に両替してしまい、負けが込んだときに備えます(勝ち抜くと最初の50円で遊べますが、負けて対戦に乱入しようとすると50円が必要ですから)。

30分後。

OB様はまた両替機に走っていかれました。今度は千円札を両替しているようです。俺はそれを横目で見つつ、まだ手を付けていない50円玉の塔を財布にしまいました。こいつらの出番はもうなさそうだと思ったから。

何と言うか、強い弱い以前にセオリー、と言うか基本ルールが分かってないようです。上下のガードの使い分けが出来ないというのは、野球でいえばボールを打って3塁に走り出すようなものではないでしょうか。ルールが分かってないのでさすがに勝負になりません。にしてもいったい誰と対戦して無敵だったのでしょう。深くは考えまい。

結局全力を出してたのは最初だけで、次第に居たたまれなくなってきました。周りの空気がそうさせたともいいます。先輩達は無言でしたが「おいおい、大人げねえなあ。ちっとは手加減してやれよ」と目で語ってきてます。

取り敢えず使うボタンを封印することを考えました。大キック、大パンチ、中キック、中パンチ、小キック、小パンチ。勝つたびに6つのボタンの威力の高いものから順番に封印していきましたが、最終的にはスタートボタンを封印しなければいけない所まで来てしまいました。

どうしよう……殺るしか?

こんな意味で悩まなければいけなくなるとは思ってもみなかったので、新しい方向性での手加減を考えながらプレイしていると、今まで無言だったOB様がおっしゃいました。

「生意気に手加減なんかするなよな!」

もうどうすればいいのか分からなくなったのを先輩たちがなだめてくれて、なんとかそれ以上の対戦は免れ、顔を合わせずらいのですぐに帰宅しました。後日とある先輩が一言。

「嶽花、この前は大変だったなあ。俺、あのゲームの事は全然分からないんだけど、俺でもあの状況が良く分かってたぜ」

それは相当のものだったんでしょうなあ、客観的に見ても。

それから三年後。なんとそのOB様が再び来鹿してくるとの事。なんでも俺と再戦するために東京からやってくるらしい。その話を教えてくれた先輩、続けて俺に余計な情報を教えてくれます。

なんでもあの後、OB様は周りに攻略本見ろよとか言われたそうなんですが、「馬鹿にするな!俺はそんな物は見ない!」とか言い返したそうな。そして近所の小学生に連続技習ったりして修行してきたらしい。

その話を聞いた俺ですが、迂闊にもOB様の来られる日にサークルに出席していたからさあ大変。気がつくと目の前に居たそうです、OB様。「そうです」と言うのは既に俺がOB様の顔を忘れていた証拠です。

「忘れたとは言わせねえぜ」と言わんばかりのOB様。顔まですっかり忘れている俺。見てるだけの皆。

……貴方ならどうする? 

俺はそれらしき人の前に行って言いました。

「……そんな事、ありましたっけ? 他の人では? 僕、ちょっとこれから用事がありますんで失礼」

OB様は歯ぎしりしていたそうな。でもその後で「奴は俺様から逃げやがったよ!」と吹聴してたそうです。

まあ、違う意味で逃げたけどさ。

OB様には感謝してます。それから俺には「接待プレイ」と言うものを身に付ける事が出来ましたから。ゲーム好きな新入生がサークルに来たらゲーセンに行き、勝てるかどうかといったギリギリのところで結局勝つ、って具合の事を考えるようになりましたもの。たまたまその時点の腕の差を見せ付けて初心者をボコボコにするなんて大人げない事をせずにすみましたとも。

そして。某サークルのHT君が「スト2で嶽花さんと対抗できるのは俺くらいのもんなんだぜ」とか言ってたらしいです。なんでこんなこと言うほど自信があるのかな〜?と思ってたんですが……

あ、そうか、「ガード5回まで」プレイ君のことか!
大学の同級生だった卑語くんとは、今も何となくかろうじて付き合いが続いてまして、結婚式に祝辞をしてもらったりした仲です。色々な意味でナイスガイすぎる彼の伝説を語ってゆきたいと思います。語り継いていきたいと思います。

そうですね、一番印象に残ってるのは、彼のサイトに以前あった俺のサイトへの特別リンクページでしょうか。彼の上品さが遺憾なく発揮されていると思います。

しかし今はココは隠しページ扱いになってます。堂々と相互リンクだったあの頃、一通のメールが。

「やあやあ嶽花くん、久しぶり。非常に言いにくいんだけど、君のページへのリンク切らせて。今度俺っちの取引先の会社の人達が俺のページ見ることになったんで、ちょっとね

もう3年たったんでそろそろリンクを戻してくれると信じてます。信じてたらこんなに色々なエピソード書いてませんね。
「ダーリン、今日はまみごやのネタ用意してるから、楽しみにしててね」

「いったい、どんなんなの?」

「ひみつ。書いてから読んでよ」

「じゃあちょっとだけヒント」

「えーとね、骨壷出勤、って題名なの」

「はぁ? 俺には骨壷出勤って聞こえたんだけど」

「聞きまちがいじゃないよ。骨壷にレーザーに出勤ってきたら、何の事だか分かるでしょ?

「分かるか!」

はたして骨壷出勤とは一体?!

答えはこちらになります。
不思議のダンジョン2 風来のシレン
不思議のダンジョン2 風来のシレン

チュンソフト
SUPER FAMICOM
1995-12-01



「アレはヤバい」

「生活がアレ中心になる」

「やるとやめられなくなる」

「かっぱえびせん」

といった感じでこのゲームを熱っぽく語る彼らの表情を見て、決して手を触れてはいけないと思ってました。俺なんか間違いなくイチコロです、間違いなく。自分の自制の無さは良く分かってます。だから酒や煙草や賭け事、麻薬には手を出しません。修論直前にバイオ2を4シナリオ全てクリアしたりしてM教授の顔色をブルーに染めたりしていません。

そんなある日、部室でくつろいでいるとハマー(そのうちコイツについても書きます。合い言葉は塩スパ)なる男がニコニコしながら捲し立てます。

「先輩、シレンが2000円で新品で売ってたよぉ〜! ダイエーで、安いですよぉ〜! お買い得ですよぉ〜!」

1000回遊べるゲームが2000円、って事は一回2円ですよ?  50回プレイしないと缶ジュースも買えやしません。

でも……今ハマルとヤバイなぁ……だって今は修論を控えた10月です。ゲームをのんびりやってる暇はない筈です。そして葛藤のあまり俺悪魔と俺天使が降臨し(中略)買ってきました。 

シレンって、チュンソフト製の割に意外に知名度が低いですが、知ってる人は知ってます。そしてやたら熱く語りたがります。ゲームの特徴としては、アイテムがランダム、マップもランダム、敵もランダム。それゆえにずっと楽しめます。1000回楽しめるRPGとありますが、全く誇張ではないです。

で、購入したが運の尽き、やっぱりはまりました、俺。昼も夜も無く、無節操に。学校かバイトか食事してるか寝てるかシレンか。そんな感じだったので自然とまみりんの事はほっときました。ほんでやっぱり怒られました。

「こんなゲームのどこがいいのよ!」

そう言ってパッドを握るまみりん。そしてそのまま5時間経過。ミイラ取りがミイラになる、とは良く言ったものです。

それから熱い戦いが始まりました。当然俺とシレンではなく、シレンを巡る俺とまみりんの、です。もう一本買えていれば問題なかったんですが、既に売り切れ。そんな訳で一個のカセットを巡ってしのぎあいます。

俺が急いで学校から帰って来ると、何故かドアが開いていて、何故かまみりんが俺の部屋にいて、何故かパッドを握っていたりしたのも数え切れません。でもそんな日々は結構あっさり終わりました。とあるダンジョンが難しくて、まみりんが投げ出したからです。

そんなわけで俺だけがシレンをする日々が続きます。それはもうあっさり睡眠不足の日々。ほんでやっぱりまみりんをほっときます。ほんで案の定まみりん、キレました。

「私とシレン、どっちが大事なのよ?!」

シレン!

……と言えるほど俺も根性が無かった、って事ですかね。シレンはもうしないと誓い、血の涙を流しながらカセットを棚の奥深くにしまいこみました。「最終問題、もう少しでクリアできそうなのに……」とか小声で呟きましたが、睨まれたので小動物のように震えました。

そんな、ある夜。一人で寝ていると、なにか物音がするので目が覚めました。なんか、奇妙な音楽が鳴っているような……メガネが無いと、裸眼0.01以下の俺には何も見えません。でも、何となく分かりました。

なんか人がいるみたいです。テレビもついてるみたいです。その人、身動きせずにじっとテレビの方向を凝視してます。何となく緊張しているようだと分かります。なんか考え込んでます。そしてしばらく考え込んで一人で頷くと、何かを手にしました。そして……

ドドン、ドドン、ドドドドドン……太鼓が鳴りました。

俺には画面は見えません。見えはしません。でも……

「まみりん、盗みに失敗したようだね。ゲームオーバーの太鼓の音が良く聞こえるよ

まみりん、驚いて振り向くと、必死に弁明を始めました。まさか夜中に忍び込んでシレンして、ばれないとでも思ってたんでしょうか?

「違うの、コレは違うの!」

「何が?」

「コレは……仕方なかったの!

「何が?」

「……ごめんちゃい」

その後、最終ダンジョンの60階でワナに躓いてアイテム喪失して以来、シレンはやってません。その後、まみりんが最終ダンジョンを99階までクリアしたからではないです、決して。

そして2002年、ドリームキャスト版シレンが発売されました。その後の嶽花家の惨状は、あなたが想像しているとおりかもしれません。
「半年後くらいに結納でもしようか」って両親が言ってた気はしますが「どうせネタだろ」と思ってました。しかしなんか加速的に話が当事者から離れた所で進んでいたのでした。

大体、婚約指輪はおろか結納金の費用なんざありません。次の給料日まで今日という日をを生き抜く事しか考えておりませぬ。「払えるだけでいいから」って言われても、払えないものは払えません。

気が付いたら五日後に結納が迫ってきました。それまでにお金を工面しないと!

……結納金ってローンできるかな?

……腎臓と肝臓、一つでも大丈夫だったのはドッチだったっけ?

一時はどうなるかと思いましたが、直腸売ったり盲腸売ったり脱腸売ったりして何とか結納金を準備できました。父さん母さん、すみません。

取り敢えずまみりんの為に婚約指輪を買いに行きました親の金で。まみりんは「ダーリンが自分のお金で買ってくれないと何かヤだ〜!」とかゴネてたんですが、母さんが「まみさん、このくらいまでなら出せるから」と指を数本立てた瞬間、ショーケースの合間を飛び回り始め、何個か候補を絞り上げて並べました。

どれにするのかなあ、とか思ってたら予算ギリギリの奴を掴み取りました。俺の予想通りに。

「輝きが他のとは違ってたんだってば!」

別に一言も責めてませんてば。少しは遠慮すれば?とか別に言ってませんてば。

で、久しぶりにまみりんのお義父さんとお会いしました。以前から漠然と凄い人だと思ってはいました。まみりんと同棲する為に3月に一度お会いしてたんですが、その時の場所が一人2万円する料亭。お義父さんが6人分全部出してくれたんですけど。

あのあとは超高級肉料理店にいって、お義父さんがレジの所で店員さんに「この豚肉、ちょっと味がおかしくないかい? 君の舌がおかしいんじゃないかい?」と真顔で凄んでたのを思い出します。ちなみにその豚肉、嶽花家は全員おいしいおいしいと言って召し上がってたんですけど。

で、今回の結納の場所とかもお義父さんが用意してくれました。なんか鹿児島の昔の屋敷っつーか、なんかとにかく高級そうなとこ。でも前回の事があるんで、俺は割と冷静にしてました。そして結納が始まって、結納に指輪を送ったら、なんか結納返しとか言ってアチラから時計をくれるって事らしいのです。

「結納返しには腕時計でどうでしょうか」とお義父さん。

「地方によって違うらしいですけど、鹿児島では時計みたいですし、いいのでは」と俺ら。

「じゃあロレックスでいいですね」

「ええ?!」

「んー、200万円くらいのでいいですか?」

「ひええええ! そんな高価なものは頂けません! もうちょっと手ごろなもので……」

じゃあ30万のロレックスにしましょう

お義父さんの左手には時間のところにダイヤモンドがついてて金ピカの675万円のロレックスが光っていました。しかも今日の為に地味なのを付けてきたそうで。それでも俺にはまぶしすぎです、お義父さん。

そういうわけでロレックスが俺の左手に常にはめられているのでした。ちなみにまみりんは「ゴツイからヤだ」といってつけてないので、とっくの昔に動きが止まってます。格の違いを見せつけられたような気分です。
ポストペット、っつーとあれですか。勝手にメールを出してくれたり、勝手に秘密の交換日記が始まったりするらしい、どこまでも勝手なアレ。

で、我が家にも居ます。勝手に俺のシレンを99階までクリアしてたり、勝手に俺のマリオカートのゴーストを塗り替えてたり、勝手に、勝手に、勝手に。

てな訳で依然はポストペットではなくただのペットの分際だったのですが、まみりんという名のポスペが俺のパソコンでメールを出す事を覚えやがって、なんか俺の知らない所にメールだしまくりです。俺のアカウントで。

それが判明したのは、俺が帰ってきてメールをチェックすると見知らぬ人からのメールが入っていた、あの日。

登さん?

誰?

人違いでは?  

まみりんに質問しようにも、俺が帰ってきたら既にポテチを補充に出かけている。とりあえず見てみます。見らずにはおれない。


はじめまして。ヘクサゴンのノボルです。

愉快なメール有り難う御座います。マジで面白かったです。

こんな面白い話を僕だけ楽しむのはもったいないので僕の日記で取り上げてもよろしいでしょうか?もちろんアナタの名前は出しません。

それでは末永く御幸せに。御返事お持ちしております。ではでは。



早速メールの送信済みアイテムを覗くが、何も無い。

でも返信が来てますよ? 

人違いでは? 

とりあえずヘクサゴンへ行ってみました。


<ヘキサゴンより抜粋>

8月31日

ラブ・シンクロイドさん(仮名)から死ぬほど羨ましいメールが届きました。以下に全文公開。

こんにちわ。HEXAGON楽しく読ませていただいております。

私一度だけ片桐さんの髪型したことあります。(参考資料↓)

片桐さん

それは19の夏でした。どうしてもプレステやりたくて、片桐さんの髪型をして見せると言う条件で、バイトの先輩にプレステ借りました。(友達一人も持ってなかったんです。)

そして約束の日……。

「アンタ本当にその格好で外の出るの!!」

ママ、もはや怒ると言うよりもちがう生きもん見てるような目で必死にわたしをとめました。でも私は、先輩の約束を破るわけにもいかず約束の場所へ……恵みの雨のお陰で傘で髪型隠せたのでホッ。

でもカメラも持ってこいと言われていたのを思い出し途中でローソンによりました。店員のにやけた視線、今でも恐ろしい……先輩に写真をパシャパシャ写されて、カラオケいって帰りました。

私、オタクなんか大っキライです。

今その先輩とつきあってます。

長くなってしまいました、すみません。HEXAGON読んでたら思い出しちゃって。それでは、失礼いたします。


おまえらに告ぐッ!

一度っきりなんてウソつくなッ!

アンタの先輩みたいなドおたくが一回で満足するかっての!

絶対かかあかかかかかか片桐さんプレイしてるだろッ!

羨ましい。僕はとても羨ましい。じょ冗談じゃないよ。あほらしいよ。何が楽しくて俺生きてんのよ。誰か俺殺して今すぐ。あーもうやめた。やめだやめ。片桐彩子日記なんてやってられるか。

僕はとても羨ましいです。ラブ・シンクロイドさん、そのスタイルをつらぬいてください。お願いです。

</ヘキサゴンより抜粋>



無言で正座して数十分後、まみりんが帰ってきました。

「まみりん、そこに座りなさい」

そしてディスプレイを指差しました。

「いつからラブシンクロイドさん(仮名)になったの?」

するとまみりん、大はしゃぎです。

「うわぁ、載ってるよ、すっごーい! これで私達、有名人ね! パリポリ(ポテチ音)」

私達じゃねえだろ、私だろ。

つーか偽名だから、俺らだってわかんねえよ、それにこんなんで有名になりたくねえよ、つーか三面記事と変わんねえよ、つーか、もっと恥ずかしいじゃねえか!

といった心境をシンプルに表現して口にしました。

「今度は何しやがった?」

しかし、言ってみるまでもなく何があったかは一目瞭然。

にしても……これじゃ誤解だらけじゃねえか。

あの髪型でやってこられて一番驚いたのは俺だっつーの。ホントにするって思うか、普通?ったく、知らない人間が見たら絶対勘違いするぜ、こりゃ。

ま、済んだ事は仕方ないんで、諦めてみる。諦めるしかねえし。

取り敢えず知人にばれてねえし。ま、しょうがない。

そして数日後、一通のメールがご到着。

今度は知ってる人です。石橋さんです。一安心です。彼とは硬派なゲームで盛り上がれる、数少ないお知り合いとも言えます(「硬派」の定義次第だが)。

さっそくメール開封。


ちわ。石橋です。

まみりんさんご本人ですか。

つーか、これ読むのは嶽花さんだと思いますが。

>HEXAGONの今日の日記見ました?
>あれ、私です。
>ではでは。

スゲエ。ヘクサゴンの日記! 

一躍有名人! 

有名人!

貴方がたは一体何をやってるんですか。

面白いからもっとやってください。

あの頭がヘルメットみたいになってる人がいいです。んでわ。



無言で正座して待ってると、まみりんが帰ってきました。

「……まみりん、そこに座りなさい。いいから座りなさい。座れ」

てなわけで、罰としてその時の写真を全世界に向けて大公開。

思えばこれが初デートだったな……

しみじみ……しねえよ!

片桐ヘアー

俺から愛しい愛しいまみりんへ一言。

もうあの頃には戻れないね。(←俺もな!)



2013年4月11日追記

こんな事もあったよね、という気持ちでノボルさんへ伝えておきたかった事を書きました。


一読した後、あまりの衝撃にいつまでも忘れられない作品。

脳みそに何かを刻み込む、という表現では生易しい。

脳みそがえぐられるほどのショック。

そういう作品に貴方は幾つ出会えてきただろうか。貴方が生涯のベスト5に入れる短編として、必ず入れる作品は何だろうか。

僕は『匣の中の失楽』という推理小説界の歴史に残る作品を残している、竹本健治氏の『閉じ箱』という短編集に収録されている『恐怖』という話を選ぶ。

とても短いので15分以内には読了できてしまうと思う。だから気軽に読んで見て頂きたい。読んだ後は気軽な気分にはなれないでしょうけれど。

そしてもう一遍、選ぶ作品がある。雑誌で発表されたのみで、今まで短編集として編纂されていなかったため、薦めても誰も読めなかったのが悔しかった*1、遂にこうして薦めることが出来て嬉しい限りです。

その名は『スパイス』。森岡浩之氏の作品だ。今では『星界の紋章』の作者としてメジャーとなった感が強いが、僕にとっては一生、あの『スパイス』の作者だ、という認識のままだろう。これからは短編集『夢の樹が接げたなら』の作者として認識する人も出るかもしれない。

この書籍で語られる話は、どれもこれも自我を揺さぶる。言葉という脳内電位差の分布、所詮は複雑なだけのシナプスの結びつき。それらを通し。コギト・エルゴ・スム。そんな言い訳さえも。
  • 注1 : まあSFマガジンの93年の6月号、と言われて直ぐに読める環境の人なら、既に読了している気もするが。
この鬼嫁というカテゴリでは、俺の妻であるまみりんについて書いてます。

俺が大学院時代にバイト先で出会い、そのままずるずる付き合って、気がついたら結納、気が付いたら結婚。そしてなんとなく今までずっと一緒に居ます。これからもずっと一緒にいそうな気がしています。

ちなみにまみりんはまみごやというサイトを運営してます。夫婦そろってネタサイトってどうなんだろう。
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