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職業訓練校二日目は自己紹介がありました。今までの職歴とか年齢とかを割と細かに皆が言うので分かったのですが、俺はこの集団の中では最年長どころか若造でした。

圧巻は定年退職して手に職をつけたいという60歳。やっぱ年功序列で選考したんじゃなかろうか。これでも大丈夫なのかJAVAプログラミング科。選抜から漏れた若い衆はどう思ってるんだろ。

で、俺の自己紹介の番に。なんか退職理由も話すことになったんで、「会社のバスに火炎ビン投げ込まれたりしたんでやめました(実話)」と素直に言ったら、みんなひいたひいた。

嶽花三十歳、早くも孤独な予感。年齢的にも別の意味でも。

※第三話へ続く
無職になって失業保険が入るようになりましたので、ちょっと職業訓練校に行くことにしました。選抜試験も合格し、晴れて入学式に出席です。出席なのですが……入学式には、なんつーか、色々な人がいました(かなり柔らかな表現)。俺が最長老かと勝手に思ってたんですが、合格者の中には俺の父親くらいの年齢の方もちらほらと。

「皆さんは大変な倍率の中から、訓練受講権を得られた優秀な方々ばかりです。他にも受けられない方がたくさんいたわけですから、是非最後まで訓練を受けて技術をものにしてください。また、欠席についてですが、たまに無断欠席や、午前休んで午後から来ますと連絡して午後も休む方とかおられますが、そういう行為がないように、しっかり受講してください」

という挨拶からして、しょっぱなから釘をさされてます。しょっぱなから欠席届の理由なんて言おうか、新婚旅行とか言いにくいなぁ、と考えてる俺の心でも見ぬかれたんでしょうか。

そして訓練中の怪我の時の保険金支払いについて質問があがりました。なんか怪しげな風貌のおっさんです。志村ケンの変なおっさんみたいな髪形してて、笑顔がだらしない感じです。スーツが全然似合ってない感じです。

でも俺が受けるJAVAプログラミング科じゃなくて、もっと難しいJAVAマスター科(昔で言うところの情報一種取得を目指すコース)の合格者ですから、それなりの質問するんだろうなぁと思って眺めてました。

「テレビ画面が爆発して怪我をしたりしたとき、金もらえるの?」

モニターじゃなくてテレビって言ってるのもアレですが、モニター爆発したことでもあんのかとでも言わんばかりの発言もアレですが、何よりも驚愕したのが前方にいた人間がそうだそうだといわんばかりに頷いた瞬間です。

合格の基準が分からなくなってきました嶽花三十歳。

年功序列制?

※第ニ話へ続く
というわけで衝撃発表は終わりです。

いかがだったでしょうか。感動のあまり、涙でディスプレイが見えなくなってる方もおられるのではないでしょうか。とりあえず俺は 泣きそうです。もちろん涙は赤色です。

え、今の気持ちですか?

そろそろサイトを閉鎖しても許されますよね? もう全てを告白し終えて(しかも全世界に)、とても清々しい気分です。ハードディスクも清々しくさせてしまいたい衝動にかられて困ってしまうくらいです。

その昔サイトを立ち上げた当初、ザンギとか片桐彩子とかをアップした時は「自分を削ってる」「人間鉛筆削り」「元祖自虐系サイト」「ちっとも羨ましくない呪け系サイト」とか色々言われてきました。

当時は「そこまでないだろ? そんなに恥ずかしいことじゃないじゃん? みんな大げさだよなぁ」とか相当視力とか脳とかが弱そうな思いを抱いていましたが、今ならこれらの称号を受ける資格があるんじゃないかと自負してます。自負すんな。

ま、傷は男の勲章って言いますしね。つまり俺の人生は傷だらけですか。なんの罰ゲームですかこれは。そう言えば「罰ゲームみたいな人生」って言われたことを思い出しましたが、もはや何も言い返しません。返せません。

最初は26とストレートに書かずに、2ピー歳とか書こうと思いました。もしくはクロスワード解いたら26になるとか、数式を解いたら答えが26になるとか(問題作り間違えたらえらいことになりそうなんでやめました)。昔アップしてた時のファイル名が 26.htm になってたのは偶然です。偶然に決まってます。

この話をアップした後日、知人に見た目は24歳くらいと言われて本気で喜んでて(←これで喜んでる自体、既にアレです)、何かのおりに「俺、24歳だから」って言ったら

「じゃあまだ童貞じゃないっすか!」

と即答されました。

母さん、今僕がいる場所が人生の底辺なんだね。
そして長い長い夜が終わり、はれて自宅へ帰りつきました。さっそく寝室ではなく居間に行くと、案の定、わが妻まみりんはコタツでだらしなく寝てました。

「ただいま、まみちゃん」

頭を撫でてじっと待ちますが、妻はぴくりとも動きません。何度か撫でて反応をみてみますが、いつもみたいに無意識に抱きついてきてくれません。だらしなく口を開けたまま、よだれまでたらしてます。

「……今日は疲れてて、熟睡してるんだね」

苦笑しながら、そのまま俺もコタツに入って横になりました。なんだか色々な意味で力が抜けたんで、ほどなくまどろみました。そしてしばらくして、頭に何か感触があって目が覚めました。妻が俺の頭を黙って撫でてます。俺も起きあがって、妻の頭を撫で返しました。

「おはよう、まみちゃん」

「おかえり、ダーリン。今日は遅かったんだねぇ。歓迎会とかあったの?」

「歓迎会、か。うん、そんな感じ」

「ふーん。まさか浮気とかじゃないでしょうね?」

妻がふざけて言ってるのは分かるんですが、心臓が凍りました。

「いや、浮気とかじゃないんだけど……」

「じゃないんだけど?!」

「うん、何にもなかったよ」

「何にもなかったよ?!」

「いや、その」

「ダーリン?!」

「はい」

「いいからそこに正座しなさい」

「はい」

「正直に話しなさい」

「はい」

そしてその夜起こったことを全て白状させられ話しました。

「……じゃあ、ダーリンは何もしなかったんだね」

「うん」

「キスも何もしてないの?」

「そうなんだよね。ああ、もったいないことしたかなぁ」

「ぁあ?! もったいない?!」

「いえ、冗談です。すみませんです、ハイ」

「でもひょっとしたら、手くらい握ったんじゃないのぉ?」

「いや、手も握ってないなぁ。ほんとに何もしなかったよ。据え膳食わぬは男の恥、って言うけど、恥かいたことになるかなぁ」

「ま、ダーリンだし(否定しない)」

「ま、しょせん俺だし(最近の口癖)」

「そうよねえ」

「そうだよねえ」

「……でもね、私、思うの。ダーリンがもし、そこで手を握る程度だけでも甲斐性あったんなら……



※第五話へ続く
そしてその直後、タクシーは停車しました。ホテル街の前で。目の前には不夜城とでも形容したくなるような、独特の夜の街の明かりが広がっています。

「ここでおろしてください」

Kちゃんは扉が開くとすぐにタクシーから降り、吐き始めました。なるほど、だからか。だから停車したんだ。そう分かると、ちょっとほっとしたような、そうでないような。

そしてふと思いました。お酒は強いと言って飲んでた筈なのに、と。すると脳裏にさきほどのか細い声が聞こえてきました。お願い、謝らないで。

精神的にまいったんだろうか。まさかこんなおじさんに断られるとは思いもしなかっただろうしなぁ。なんだかすまない気持ちになってきて、Kちゃんの背中をさすってあげようかとしたんですが、すでにもう吐き終えたようです。手持ちのティッシュを差し出すと、少しだけはにかんでKちゃんは口をぬぐいました。そしてそのまま歩き始めます。

「嶽花さん、もうちょっとだけ、私につきあってもらえません?」

「いいよ」

「でも、奥さんの方が大事なんでしょ?」

「うん、奥さんが大事」

「ちょっとくらい嘘ついてくれてもいいのに」

「30分間だけ?」

「そう、30分だけでいいから。だから、嘘、ついて」

「俺、今まで嘘ついたことがないんだ。だから無理」

「嘘つき」

「よく、そう言われる」

「奥さんにも?」

「……そう言えば、奥さんには言われたこと、まだないかな」

「そうなんだ」

「うん」

そして会話はとまり、二人とも無言のまま、とあるビルの前に来ました。

「お願いってのはね……ここのビルに私が今まで勤めてたお店があるの。そこのドアの前にこの荷物を置いてきてほしいの……」

「うん、いいよ」

俺はその荷物を受け取ると、件のお店の前に置いてきました。

「誰もいなかった?」

「誰もいなかったよ」

「そうですか。じゃあ……帰りましょうか」

「そうだね、帰ろうか」

そしてタクシーに乗り、帰路へ。

「嶽花さんは、次の就職先は決まってないんでしょ?」

「そうだね、まだ何も決まってないね。色々考えはあるから、あせらない程度に落ちついて決めてこうと思ってるさ。まあ、どうにかなるよ。人間、学ぼうとする意思さえあれば、いつまでも頑張っていけると思うし」

「可愛い奥さんもいるしね」

「ははっ、そうだね。そうだ、帰ったら奥さんの頭を撫でる、ってのだけは決めてるかな」

「そんなに好きなんだ。どうしてそんなに好きなの?」

「さあ。なんでだろ。でも好きなんだからしょうがないよ」

「そっか、そうなんだ……」

そして再びKちゃんのマンションまで戻ってきました。

「じゃあね、Kちゃん。体に気をつけて頑張ってね」

「嶽花さんもね」

「じゃ、ね」

「……嶽花さん?」

「なに?」

「また今度、別の日に浮気しようね!」

声は明るくふるまってるんだけど、少しはにかんで笑ってた。その表情を直視するのがつらくなった。何も言い返せなかった。

「じゃあね」

バイバイと手を振り、タクシーを出発させる。ふとバックミラーを見ると、まだKちゃんはこっちを見てた。ためしにバイバイと手を振ると、バイバイとKちゃんが手を振った。

それ以来、Kちゃんとは会っていないし、電話もかかってきていない。彼女のお店の件が気にはなるが、知らせが無いのはいい知らせなのだろう。そう思うことにする。

※第四話へ続く
そしてその質問の直後、タクシーはKちゃんのマンションの前に停車しました。

「嶽花さん、4分だけ待っててくださいね。すぐ戻ってくるから」

そう言ってKちゃんはそそくさとマンションへ入っていきました。この沈黙に耐え切れなくなったのか、俺はやたら饒舌でした。タクシーの運転手さんに対しては。

「運転手さん、やっぱこんな状況のお客さん、沢山乗せたんでしょ?」

「いやぁ、初めてですねぇ。私までドキドキしてきましたよ」

「いえね、僕、今日、会社をやめてきたんですよ。はっきり言って、妻の為に会社やめてきたようなもんなんですよ。でもね、妻の為に会社やめたその日に、会社の女の子とこんなことになっちゃって……もう、どうしていいやら」

「それはそれは。困りましたねえ」

「そうでしょ、困るでしょ? そりゃ、ヤりたいですよ下半身的には! あの子、はっきし言ってカワイイし、なんで僕なんかに?とか思うくらいだし!」

「ははは、羨ましいですなぁ。私も一回くらいこういう状況に陥ってみたいですよ」

ちょうどその時、電話がかかってきました。Kちゃんです。

「嶽花さん、ちゃんと待っててくれてます?」

「うん、タクシーに乗ったままだよ」

「……良かった……じゃあ、今すぐ行くから待っててくださいね」

「4分を1秒でも経過したら、すぐにタクシー出して帰るからね」

「そんなこと言っても、嶽花さんはちゃんと待っててくれるもん」

言い返せずに無言でいたら、「じゃすぐあとでね」と電話は切れました。携帯片手に途方にくれてる俺。そしてやけに無言な運転手さん。長い長い数分間がすぎ、Kちゃんが戻ってきました。

今までもお店に行く為に着飾っていたと思うんですが、戻ってきたKちゃんは今までが見劣りするくらいに可愛らしい服装になっていました。こういうのを勝負服って言うんでしょうか。なんか見るからに気合入ってます。

「おまたせ、嶽花さん。じゃあ運転手さん、また天神までお願いします」

そしてタクシーは出発し、俺らは無言のままでした。そうしていると、Kちゃんが再び尋ねてきました。

「嶽花さん、さっきの答えをまだ聞いてないんだけど……」

「答え、って……?」

「じゃあ、もう一回言いますよ……私と奥さん、どっちが大事?」

少しだけ間をおき、観念して答えました。

「奥さん、かな」

車内は暗くなっててお互いの表情は見えないのですが、それでもKちゃんが動揺しているのは分かりました。

「ねえ、もう一回だけ質問させて。私と奥さん、どっちが大事?」

「やっぱり、奥さんだね」

「どうしても?」

「どうしても」

「ねえ、これからずっと、ってわけじゃないの。今から30分の間だけでいいの。私と奥さん、どっちが大事?」

「でも、奥さんなんだよね、これが」

俺が即答すると、Kちゃんはうつむきながら、つぶやくように言いました。

「私のことは、大事じゃないんだ」

「大事じゃないわけじゃないさ。でも、奥さんの方が大事なんだ。こういう性分なんで、仕方ないよ」

「どうしても、ダメなの……?」

「……ごめんね」

「謝らないで、お願いだから……」

思わずまたごめんと言おうとして、そのまま口をつぐんでしまい、そのまま沈黙が訪れました。そして思いきって、話を再開しました。

「あ〜、帰ったら奥さんの頭を撫でたいなぁ」

「そんなに奥さんのことが好きなの?」

「うん、大好き。かわいいよ。深夜に帰るといつもコタツでうたた寝してるんだけどね、俺が帰ってきて頭を撫でたげると、寝ぼけながらもダーリィンって言いながらギュッってだきついてくるんだ」

「お願いだから……お願いだから、今だけはそんな話しないで……」

「……ごめん」

「謝らないで、お願いだから……」

そして、再び、沈黙。

長い長い沈黙は彼女によって破られました。

「ごめんなさい、運転手さん、ちょっとここで止めてもらえませんか?」

そこはちょうど、ホテル街でした。

※第三話へ続く
嶽花ですけど。

今回、皆様に衝撃発表をお届けしたいと思います。かなり長くなりましたが、最後までお読みいただけると幸いです。

にしてもサイト休止してから再開した直後に毎回毎回衝撃発表の類があるような気が。



今日、仕事をやめてきました。ちなみに次の仕事は決まってません。

ネタでもなんでもなく、本当に、です。ちゃんと嫁には直前に「いいかな?」と聞いて、「いいよ」と即答してもらえたんで。まあ、今日を持って人生観を少し修正しました。強情はらずに、頼れるものがあるときは頼ってみるのもいいかな、と。

これからしばらく、妻と夕食を一緒に取って、一緒にテレビ見て笑って、一緒にこたつでうたた寝して、他愛のない話をたくさんしようと思ってます。

あ、そうだ、本当に新婚旅行にでも行こうかな。北海道とか、もう温かくなってるのかな。それとも沖縄に行って泳ごうかな。大阪で本当に食い倒れてみようかな。このさいだから、ビザってものを所得してみようかな。

まあこれからが大変だとは思いますが、それでもやはり、こういうことになって清々しい気分です。ま、これからも頑張ります。色々と、ね。


この先について書くべきかどうか散々悩んだんですが、妻が寝ついたんで続きを書くことにします。

大学院で超伝導について学んだ俺ですが、先日までは何故かコンパニオン派遣会社に勤めていました(←なんでやねん)。

色々なことがあって唐突に退社を決めた夜、派遣先のお店から帰ってきた女の子達はあまりの突然さにみな驚いてました。しかしこれだけの唐突さだと言うのに、みんな暖かい言葉をかけてくれました。

いつもはすぐに帰る子が俺の退社時間(午前2時!)まで居てくれてたり、「今度お店に奥さんと飲みに来てネ!」とクラブの子に言われて「お金あったらね」と苦笑しながら言ってみたり、なんか涙目になりながらメモ帖で即席の手紙を渡されてみたり、「最後に一緒に写真とってください!」って言われて携帯のデジカメで撮ってもらったり、最後には花束(しかも鉢植え)をいただいたりして、泣かないようにするのが大変でした。今、毎朝水を鉢植えにあげるのが日課です。大事にしていきたいと思います。

職場ではサイト上でのバカ丸だしのキャラじゃなくて、かなり生真面目な風を装ってたもので、正直な話、女の子たちにはあまりウケが良くないかなぁとか近寄りがたいなぁとか思われてるのかと思ってたんで、驚きました。

そういう心境を正直に女の子達に言ったら「何言ってるの、嶽花さんは隠れファンが多いんだから。もっとゆっくり話したいって子、多かったんだよ?」って言われました。

隠れてるなよ! つーか、女の子に興味なさそうって、ここでもまたホモ扱いですか俺、つーか奥さんいるのにホモ扱いですか俺。確かに学生時代に「さぶ」とか購入したりしましたが。

そんなこんなで退社後は、職場で仲の良かったコックさんとモスバーガーにて本音トーク炸裂です。そういう時間もあっという間にすぎ、コックさんが「息子が熱を出したんで、ちょっと悪いのですが、今日はこの辺で……」と帰宅されました。まだまだ話足りなかったのですが、妻もコタツでうたた寝して待ってるだろうと思ったんで、もう帰ろうかな。そう思った 時、突然携帯にコールが。

「嶽花さん、今どこ?」

コンパニオンのKちゃんでした。電話番号を教えたことはなかった筈ですが、会社の短縮ダイアルに登録されてるくらいだから、誰かから教えたもらったんでしょう。

「あ、Kちゃん。今モスにいるんだけど、もう帰ろうとしてるとこだよ」

「えー、もう帰っちゃうの? どうせだから居酒屋とかに言って、もっとお話しません? 今日でもう最後なんだし」

はっきり言って途中でコックさんが帰って寂しかったんで、せっかくだからパーッと飲もうか!ってことに。俺は親父譲りの下戸なんで、ビール一杯で顔は真っ赤っ赤。最後にしんみりするのもなんだと思ったんで、会社では隠してた、サイトに掲載してるような色々な逸話を話し始めてました。昔はモヒカンだったんだぜ?とかムー大陸博物館って知ってる?とか。

そうこうしているうちに、Kちゃんがなんだか真剣な表情になって、小声で話を始めました。なんでも相談があるそうで。

俺がその夜やめた会社はコンパニオン派遣会社で、お店は派遣会社に派遣料金を支払って女の子を斡旋してもらうシステムになってます。ところがKちゃんは派遣会社を通さずにお店に直接入店をしていたんです。派遣会社に来はじめたばっかりで良く分からず、その方が割がいいかな、って思ったそうです。しかし今ではそのお店をやめたくて仕方がなく、どうすれば……という相談内容でした。

なるほど、今日会社をやめる俺だからこそ、そしてコックさんが帰ったからこそ、話せる内容だったんだ。だからモスについてきたんだね、色々大変だなぁ。そう思って俺は自分なりに色々助言しました。それでKちゃんは少しは安心したのか、相談中の硬い表情は隠れ、もとの笑顔が戻ってきました。

そうこうしているうちにビールが効いてきたみたいです。トイレで席を立ち、戻ってきて、少しだけ残ってた自分のビールを飲み干そうとしました。しかしKちゃんはすっとビールを自分の方に下げて「もう、次のお酒頼んじゃったから、飲まなくていいでしょ?」と小首をかしげました。「あ、そっかー、じゃ無理して飲まなくていいか」と俺も酔っぱらってるんで素直です。

そしてお店の人がお酒を新たに持ってきて、残った俺のビールを下げようとしたのですが。Kちゃんはさっと俺のビールを持つと、残ったビールを飲んでしまいました。それ見て俺は「酔っ払ってるなー。もったいなかったんかなー」とか酔っ払ったまま思ってました。

そしてまた他愛の無い話を再開しつつも、眠気と酔いで少しずつお互いに無口になってきました。そして再び、Kちゃんは真剣な表情になって言いました。

「……出ましょうか」

「そうだね、じゃあ支払いは俺がしておくから」

「お願いしますネ!」

と明るく言った直後、Kちゃんは再び真顔になって言うのです。

「わたし、嶽花さんにもうひとつだけお願いがあるんですけど……いいですか?」

「ああ、いいよ。今日で会うのも最後だしね」

「一度私の家までタクシーで帰って、一度こっちまで戻ってきて、また私の家まで戻ってきて欲しいんです」

「いいけど、そりゃまた、どうして?」

「さっきお話したお店ですけど、今日で終わりにしたいと思って。だから自宅からお店のものとか持ってきて、お店に置いてきたいんです。でも、一人だけだと恐くて……」

「ああ、なるほど……あ、ちょっと待って、俺、お金大丈夫かな?」

と情けないことを言いつつ財布の中身を確かめようとする俺でしたが、

「タクシー代は私が出します。だから、お願いします……」

というわけでタクシーで同行することになりました。自転車で通勤してきたんですが、会社で女の子達にもらった鉢植えが大きかったんで、今日はどっちにしてもタクシーで帰るつもりだったんで、ま、いっか。 タクシーの中で何を話すべきかなとか思ってたら、Kちゃんの方から話題を振ってきてくれました。

「嶽花さん、奥さんってどんな人なんです?」

「見た目は可愛いんだけど、性格はかなりヘンテコで退屈させてくれないね。結婚式でも言ったんだけど、そこが好きかな」

「……へえ、そうなんだ……」

「うん、大好き。携帯の待ち受け画面も奥さんにしてるんだ、俺」

酔っ払ってるんで臆面もなにもない俺は、Kちゃんに携帯を渡します。すると携帯の妻の写真を見つめながら、Kちゃんは言いました。

「嶽花さん……一つだけ質問があるんです。答えてくれます?」

「いいよ」

「ねぇ……私と奥さん、どっちが大事?

「ええ?!」

「……わたし、これから自宅に戻ったら、着替えて戻ってきます……」

「そっ、それってどういう意味?」

「女の子にそんなこと言わせないで……あとは嶽花さんに任せますから……」

あまりの事態に沈黙している俺に、再びKちゃんは訊いてきました。俺の携帯を胸にしっかり抱きしめながら。

「今から30分の間だけでいいんです、私と奥さん……どっちが好きです?」

※第二話へ続く
大学時代の友人に頼んでまたまた鹿児島のムー大陸博物館に行ってまいりました。以前は妻と行って来て当サイト内にもそのテキストを残していますが、今回は学校の提出課題として改めて取材に行ったのでした。

奇妙な雰囲気と緊張感はあいかわらずでした。奇妙なお経みたいな曲が常に流れている中、人の声がしただけで緊張してしまいます。リアルメタルギア状態ですか。

おみやげ屋では前回購入できなかったムー人形を買うことができました。人形の箱がなかったので、なんと聖水ことプライムテンのダンボールに入れてもらえました。レアすぎ。

今回はある程度課題は仕上げておいて、以前と変わっている部分があったらそこを修正しようと思ってたんですが、一年ほど前に大幅な改装をしてくれやがってました。特に写真撮影禁止の館内にいたっては、新しい展示物が目白押しで圧倒されました。あれは口で説明できない。あの雰囲気は。

そんなこんなで無事に帰ってきて、課題は見事に殆ど作り直しです。あまりにも時間がないので一部を嫁に頼んでやってもらったら、「ダーリン、これで卒論の件はチャラだからね」と言われました。そうです、そうなんです、実は嫁は自分の卒論を……これ以上は俺の口からはちょっと言えません。



先日は卑語くんとムー大陸博物館に行って無事に戻ってこれましたが、それに対してPROF君から感想がありました。

PROF:「ムー大陸かあ・・。たしか昔は鹿児島の南東に丸いムー大陸が描いてあっただけだと思うんだけどね。研究は進んでるんですね。そのうち教科書の書き換え問題とか出てきそう。これだけ証拠がそろってるんだからそろそろ文部省もムーの存在を無視できなくなるんじゃないかな?」

嶽花:「ムーといえば、君が昔、プレートどうしに挟まれた勢いでムーが宇宙に飛んだんだという新説が衝撃的でした。」

PROF:「俺そんな事言ったかなあ? 卑語君の間違いじゃないかな。」

嶽花:「ほかならぬ君がそう言うのだから、俺の記憶違いなのでしょう、ねえ卑語君?」



結局徹夜で課題を作って提出して、そのままプレゼンです。将来的にはiモードムー博やBBSや通販コーナーを作って拡張したいとか、マスコットキャラクターはボケ役とツッコミ役を親しみやすく配置しましたとか、もうやけになって思ってもないことばっかり言いまくりです。

先生方からは「え、これってマスコットが二人いたの?」とか「つーか二人ともツッコミ役じゃない?」とか「まあデザインはともかく……かなり頑張って作ってもらえたようですね」とか「デザインは……ある意味、題材に合ってるんじゃないですかね」とか貴重なご意見を頂けました。デザインという言葉の後でどうして言葉に詰まられますか先生方。

もうちょっと色々と作り直したい気はしますが、せっかくなので暫定版ですが新たに作ったムー大陸博物館サイトをアップしてみます。感想はもうたくさんもらってしまったのでもういらんです。とりあえずデザインって言うの禁止。ちなみに一番苦労したのは、タイトル画像の文字でやつらの股間を隠した点です。

では、どうぞ。
鹿児島にはいろいろ名所があります。中でも桜島は世界的に有名ではないかと思います。

しかしメジャーな名所に隠れるように、まだまだ知られざる名所は存在しているのです。一度足を踏み入れると、もう元の光ある場所に戻って来れないような、そんな場所が確かにあるのです。

それでも、そのような場所を見てみたい、と言うのであれば止めはしません。歴史の証人となってください。
桜島ザンギ外伝 「母よ、母よ、母よ」 (第六話)

リアルザンギから数年。

全ては幻のように思えた。

写真さえ残っていなければ。

しかし、写真が残っていたからこそ。

そう思える事態もあるわけで……



俺の大好きなゲームで『MOTHER2』というRPGがあります。アレな意味ではなく、真面目に好きです。ほんわかした独特の味がいい感じです。敵を殺さずにフライパンで頭を殴って改心させたりする所なんか大好きです。

だから続編の『MOTHER3』のニンテンドウ64DDでの発売予定には心踊りました。しかも更に心踊るお知らせがその雑誌にはありました。

キミも『MOTHER3』に出演できる! キミの写真を送ってくれ!

てなわけで送ってみました、写真。



数ヶ月後。選考会の様子が雑誌に載ってました。

電撃NINTENDO64、97年12月号

以下、電撃NINTENDO64、97年12月号より抜粋。

糸井:
すごい数だねー。何を基準に選んだらいいのか難しいね。弱ったね。

司会:
何かひっかかる「顔」がありましたら、どんどん候補にあげていってください。

糸井:
自分の歴史を語っている写真の束を送ってきた人のが凄いね。昔はモヒカンもやってたけど、就職して彼女も見付けたぜって感じで。

青木:
この人は手紙も凄いんですよね。

伊藤:
何ページにもわたっていますよね。

糸井:
でも、これを使うのは難しいかな。試みは面白いけど、一つの顔じゃ表現できないものね、この人のキャラは。特別賞かな。

司会:
顔を使うとしたら、人間キャラですよね。

糸井:
そんな、モンスターには出来ませんよ。殺されちゃうもんね、モンスターは。

伊藤:
自分が殺されたら嫌でしょう。せっかく応募したのに、モンスターにされて、こんなハズじゃなかったーって感じになるからね。

糸井:
でも、そういう期待を裏切るのもすきだし……


そんな事言わず、ぜひモンスターにして下さい!

ぜひ全国の子供たちにフライパンで頭を殴らせてやって下さい!

ぜひ俺に俺自身を改心させる機会を下さい!

ぜひぜひぜひぜひぜひぜひぜひぜひぜひ!

……ダメ?



ほんで、最終選考に残った3名は……

入賞者各位

えーと。いねえじゃん、俺。

つまり、特別賞=落選?

ちなみに採用されたのは一番左のふっくらしたコです。

この写真って そんなに駄目だったかなぁ……?

実写モヒ

ちなみに言うまでもないですが、この写真は合成です。偽者です。もちろんフォトショップさまさまです。俺の生ツラではないです(口笛を吹いてよそ見をしながら)



あれから随分たち、マザー3は一時期発売中止と発表されましたが、なんとゲームボーイアドバンスで発売されることが決まりました。俺が登場することはありえないですが、もしかすると例の三人の子供たちが出演するかも?と楽しみにすることにします。でも彼らももう大人の顔つきになってるんだろうなぁ。
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